馬刺しがうまい理由

 馬肉は,肉の色から「サクラ肉」,またその習性から「けとばし」等(地域によっ諸説が多数あります)と呼ばれ,一部地域で愛好されています。本来,馬は肉用家畜ではなかったのですが,現在は肉用家畜といってもよいでしょう。  現在,日本国内での馬肉消費量は約2万3000tで,そのうち約3分の2強がカナダ,アメリカ,オーストラリア等の国から輸入されています。輸入物の一部はテーブルミートとして消費され,その分の輪入はフローズンからチルドヘのシフトが進んでいます。また,馬肉特有の赤身肉のみではなく,日本人の好みに合った霜降り状態の肉になるように,境地で3~12カ月問穀物肥育をして輸出するケースも増えているようです。  日本における馬肉消費量の約3分の2がハム・ソーセージ,缶語類の加工用として,残り3分の1がテーブルミートとして消費されているとみられます。最近の人気メニューは,馬刺しです。しゃぶしゃぶ,さくら鍋もありますが,熱を加え過ぎると硬くなりやすいため注意が必要です。牛肉,豚肉に比べ一般的ではありませんが,地方によっては脂肪の少ないへルシーな肉,スタミナのつく肉というイメージもあり根強い需要があります。  肉色は暗赤色で空気に触れると藍色にひかり,繊維はきめ粗く,バラバラになりやすいのが特徴です。脂肪は筋肉部には少なく,大部分は皮下に蓄積されています。不飽和脂肪酸が多く,牛肉に比べると脂肪は薄黄色みを帯び,指でつまめば溶けるくらい融点が低く(10月号本欄参照),軟らかです。  また肉中のグリコーゲンの含有量が約2%と他の畜肉に比べて多く含まれています。そのため肉には甘みがあり,馬刺しには最適ですが,煮た時に泡立つのもグリコーゲンによるものです。このほかミオグロビン含有量が多いことも特性といえます。  グリコーゲンはDグルコース(Dグルコラノース)の高度重合体で1,4グリコシド結合の主鎖にα一1,6グリコシド結合の分枝をもっています(下図)。グリコーゲンは動物生体内の貯蔵炭水化物で,動物の肝臓に多く含まれていますが,筋肉組織その他多くの細胞にも含まれており,代謝・構造保持の面で重要な役割を担っています。  ただ,グリコーゲンの含有量は動物種,筋肉の部位,と畜前の安静・給餌・運動,と畜事前後の温度環境等によって変化します。筋肉中のグリコーゲンは,筋収縮のエネルギー供給源で,リンを含有する糖を経て乳酸に分解され,一部はエネルギーとして消費され,残りはグリコースを経て再びグリコーゲンに合成されます。  と畜後の食肉中のグリコーゲンは,死後解糖作用によって乳酸に分解されるため,最終pHに影響を及ぼし肉質にも関係します。グリコーゲンは,一般には筋肉内には少なく肝臓に多いのに,豚の新生児の筋肉内にはグリコーゲンが約7%と成豚の約1%に比べても馬肉に比べても非常に多く含有されています。 (鏡 晃)

会津郷土料理 楽

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